前回の続きで、石硤尾(Shek Kip Mei)を散策中〜。

前回の投稿で、様々なタイプの公団住宅が一同に集まる石硤尾の街は、
まるで団地の博覧会のよう、と書きました。
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散歩の次の目的地に行くと、その謎が解けるヒントがありました。
そして、そこで石硤尾の壮絶な過去も知ることになるのですが…
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次の目的地は、JCCACから歩いて5分程にある、ユースホステル Meiho House。
このユースホステルの特徴は、1950年代に建てられた公団住宅だった建物を再活用しているということ。
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この建物は、香港で初めて建てられた公団住宅の1つで、歴史的建造物に指定されています。
館内にはユースホステルとしての宿泊機能のほか、売店、カフェ/レストラン、
そして、この建物と石硤尾の歴史を詳しく紹介している展示室があります。
この展示が、ホント素晴らしかった〜。

この展示ではまず、戦後から1950年初期にかけて、深水埗/石硤尾エリアは
中国本土からの移民などの不法定住者で溢れかえっていたということ、
そして、彼らはトタン屋根と一枚板の壁だけのとても質素なつくりの家に住み、
石硤尾にある丘の傾斜などにスコッターとして住み着いていたことを知ります。
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1953年のクリスマスの夜、そんな日々の生活を送るのでさえ苦労をしている人々に
さらなる悲劇が襲うのです。
1つの違法住居から始まった火事により、地域にあった全ての住居が燃えつきてしまうのです。
この大火事により、5万3千あまりの人々が、一夜にしてホームレスになってしまいます。

その後の苦労は、多くを語らずもたやすく想像がつきます。
そんな家を失った人々を救済する目的で、香港政府は国連の経済的援助を受け、
火事の跡地に共同住宅を作ることになったのでした。
これをきっかけに、公団住宅の第一号となる建物が石硤尾に誕生したのです。
このユースホステルとなった建物は、火事の跡地に建てられたオリジナルの救済住宅の一つ。
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H型の平面をした6階建ての建物は当時のまま。

この救済住宅のおかげで、住む場所を失った人々がまた家を手にすることができました。
しかし、初期の住宅の住環境は決して良好とは言えませんでした。
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1954年当初の救済住宅の平面図を見ると、いかに1つの1つの住居スペースが狭かったかが分かります。
6畳ほどのスペースに、1家族、あるいは複数の家族が共同で住んでいたのだとか。
台所やトイレなどの水回りは全て共同で、建物の中心部に設置されました。
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これは当時の部屋を再現したもの。
6畳ほどの部屋にロフトスペースのようなものを設け、できるだけ多くの人が生活できるように
工夫されています。
ロフト部分の壁に小さい穴が何個も開いているのが見えますが、それらは換気のために設けられ、
隣の家に繋がっています。プライバシーは二の次だったよう。
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展示室には、昔の住まいを実物大で再現したものの他、それらの住居に住んでいた人々の証言などが
紹介されていました。
今の煌びやかな香港では想像ができないほど、人々は苦労してきた事を知りました。
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その後1970年代に入り、住環境が改善されていきます。
建物自体の構造はそのままで、2つの6畳のユニットが、もしくは3つのユニットが合体し、
1つの大きなアパートとなりました。
アパートの片側には共用廊下、反対側には住居専用のバルコニーと、
現在の集合住宅でも見られるアパートの形態になりました。
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住居スペースが広がった分、生活の質も大きく向上。
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しかし、ひと間に一家族は決して最良とは言えません。

これから香港の公団は大きな発展を遂げていきます。
今では、高層タワータイプのものなど、より多くの人々がより良好な住環境を得られるよう、
様々なタイプの公団住宅が開発されていきます。
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石硤尾に一時期41棟もあった1950年代初期の建物は、このユースホステルになった建物を1つ残すのみで、他は新しい公団の形態に建て替えられました。
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前回の投稿でも紹介した地図ですが、これ見ると石硤尾には様々な時代の
様々なタイプの公共住宅があることが分かります。
1970年代に建てられた中層の団地は、そろそろ建て替え時かもしれません。

経済的に発展を続ける香港。
今の華やかな香港の影には、困難や災難を乗り越え生きてきた人々の苦労や努力が
隠れている事を知りました。
展示を見終わった後、そういった人々に素直に敬意を払いたいと感じました。
ユースホステルとして用途は変わっても、彼らの歴史が詰まったこの建物を
ずっと未来に残して欲しいと思いました。
ちょっと熱く語ってしまいましたが、新しい香港の一面を見れて、
ただただ、感動した〜。

さて、気分を変えて、ユースホステルの残りの施設も見てみましょう。
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一階にある売店はレトロ感満載で、香港らしいグッズも置いてあります。
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カフェ/レストランもインテリがとてもオシャレ〜。昔懐かしの茶餐廳を再現している感じ。
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カフェの横にはテラススペースもあります。天気の良い午後にゆっくりしたい〜。
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このユースホステルは、展示室を見学しに来るだけでも十分価値があると思います。
皆さんもぜひ訪れて、香港の歴史を知ってもらいたい〜。ちなみに展示室は入場無料です。

石硤尾の散策はもう少しだけ続きます。


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